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アスベスト訴訟、国の責任を認める
泉南アスベスト訴訟の上告審が、最高裁で行われました。

ご存知の方も多いでしょうが、アスベストは石綿とも言われ、耐火性、断熱性などが高いことから、数十年前にはずいぶんと重宝され、建築資材などに数多く使われました。
ところが、長期間大量に吸引すると、肺がんや中皮腫と言った重篤な病気の原因になることが判明してから、全面的に使用が禁止されています。

潜伏期間が数十年と言われており、なかなか問題が発覚しなかったことも被害を拡大させました。
それでも石綿を製造する企業の従業員やその家族で、肺疾患による死亡例が確認されだし、その企業はもちろん、国に対して安全対策を怠ったということで訴訟がおこりました。
今回の最高裁での判決は、工場の排気装置の設置を義務づけるのが遅すぎたと判断し、国の責任を認めました。

ニュースで昔のアスベスト工場の写真を映していましたが、もちろん防塵マスクなどつけず作業していました。
パートのおばちゃんの中には、赤子を作業場に連れてきて寝かしつけているようなこともあったようです。
その赤子は成長されて、55歳くらいになり、肺疾患を患われて今回の原告に加われていました。

対応の遅れた国は責められてしかるべきなのでしょうが、問題視され始めてからどれだけ危機感があったのか?
今回のアスベスト被害者の方は、健康被害があるということを全く知らなかったのか、少しは知っていたが「大したことはないだろうという油断のようなものがあったのか?

理系技術者や工場作業者は、素材を扱うことが多く、有害と言われる物質でもどうしても接する機会が増えます。
私も20年ほど前は研究開発作業がメインの業務でしたので、有機溶剤や粉体を一日中取り扱っていました。
特に粉体にいたっては、直径10ミクロン程度の細かなもので、今となって考えればアスベストと同じように肺疾患を引き起こす恐れのあるものでした。

その当時でも工場では防塵マスクの着用が義務付けられていました。
しかし私の所属していた研究所ではそこまで厳密に管理されておらず、管理職も注意していなかったように思います。
経験のある方はわかると思いますが、防塵マスクって苦しいんですよ・・・
息苦しいし暑いし・・ちょっとした作業なら、「面倒くさいから外してやろう」って軽く考えていましたね。

知らないっていうのは、怖いことです。

知らないってのも2段階あって、専門家の間で危険が認識されても、それが一般人にまで浸透させるにもかなりの時間を要します。
人間、自分には危険は及ばないと考えたがる生き物ですしね。

アスベストの問題は、一般人までその危険性を知りうるレベルまで認知されました。
しかしそれは、多くの犠牲者と引き換えと言えないこともありません。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、現在闘病されている方々に、心よりお見舞い申し上げます。

即時に死に至るわけではありませんから、同列視するのはおこがましいかもしれませんが・・
我々も危険があるとは考えもせず、あるいは一部では依存性が問題視されていたが安易に考え、
ベンゾジアゼピンを長期間服用し、薬物中毒と言う病禍に苦しんでいます。

この問題が、一般人のレベルまで危険視されるようになるのはいつになることか・・
はたまた、そんな時はこないのか?
我々が苦しんでいることの引き替えに、世間で危険性が認知され、この後に同じような症状に苦しむ人がいなくなりますように、
こういった健康訴訟の裁判を見るたびに、そう願わずにはおれません。
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