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どれだけずつ減量するのでしょうか?
断薬に向けての話、昨日の続きです。
同じくよくいただく質問です。

  「どれだけずつ減量するのでしょうか」

置かれている環境あるとか、期間であるとか、症状の重篤さなどで変わってきますから難しいですね。
専門家でも意見が分かれているように思います。

多数派の意見は「徐々に減らしていく」というものですね。
代表されるものは有名な「アシュトンマニュアル」でしょうか。
http://www.benzo.org.uk/amisc/japan.pdf

この114ページにも及ぶマニュアルは、私も断薬初期に熟読しましたが、断薬を望む者にとっては勇気づけられるバイブルですね。
急激な断薬を行った場合、急性で重篤な症状が出る恐れがある。
服薬量を漸減することによって、辛い症状をできるだけ「軽く(無くではない)」することがポイントでしょうか。
多くの断薬をプロデュースされてきた方だけあって、納得できるものです。

一方、「一気断薬が好ましい」と主張される方もおられます。
断薬の専門クリニックである、東京DDクリニック内海先生がそうです。(ただし環境が許す場合という制限つきです)
http://touyoui.blog98.fc2.com/blog-entry-126.html

その論拠は
「覚せい剤・麻薬などは一気断薬するから」
本来、止めなきゃならないものなんだから一気に抜くのが一番良い。
精神論的になるけれども、「精神薬との完全なる決別の意志」を持つことが重要と言われています。
うーん、やや乱暴にも聞こえますが、同意してしまいます。
それに「漸減の場合、禁断(離脱)症状と依存が長引く」ことを懸念されています。

私の場合は、無知もあったんですが、一気断薬に近いものでした。
具体的には20mg/dayで服用していたレキソタンを、週に5mgずつ減らして1か月で断薬しました。
結果として5mg/dayまではほとんど離脱症状はなく、最後の完全断薬で一気に離脱症状がでました。
5mg(1錠)をもっと細かく割って服用していたら、離脱症状は軽かったのかもしれませんし、変わらなかったのかもしれない。
選択していない未来を予想することはできませんが、結果として私の場合、断薬は成功しています。
(まだ症状は残っていますけれど)

内海先生が言う「一気に止めた方が早く良くなるだろう」という意識があったことは否めません。
考えてみてください。
健康な時の脳の受容体の状態を10、ベンゾジアゼピンの依存で器質異常を起こしている状態を0とします。
ベンゾジアゼピンを服用することで0→10に戻して、正常に生活しているわけです。
断薬をするということは、0の状態を自然修復能力で10の状態まで回復するのを待つことと同義です。
減薬している状態は、0の状態にまでしてしまうと症状がきつすぎるから、とりあえず少量のベンゾジアゼピンを服用して、5であったり4であったりの状態を作り出しているということでしょう。
その状態を長く続ければ、そりゃあ症状は軽いかもしれないけれど、自然修復に時間がかかってしまう・・・
結果として苦しみも長引くんじゃないか?・・・それが私の考え方でした。

実は私もベンゾジアゼピンを断薬した後、それ以外のクスリで0を2や3に嵩上げしていたことはあります。
例えば抗うつ薬のリフレックスレスリン、抗精神病薬のセロクエルなんかを、その副作用である眠気を逆利用して睡眠薬の代わりに使っていたことがあります。
またベンゾジアゼピン系ではない抗不安薬のセディールは、離脱症状の辛さをやや和らげてくれました。
(これらのクスリは離脱症状の緩和に役立ちますが、その使用を推奨はしません)
ただ、これらのクスリで嵩上げしていては、「いつまで経っても自然修復能力で10の状態まで回復できない」と思って、これらも止めてきた経緯があります。

結論ですが、私は「一気断薬のほうがいい」と思います。
しかし万人にこれが正解かといわれると、自信がありません。
一気断薬により不可逆的で重篤な症状が出る人もいるかもしれない、私よりもよっぽど症状がきつくてという人もいるかもしれない。
仕事がある、持病があるなど、人によりその境界条件は様々です。
中途半端な表現になってしまいますが、昨日も書いたように、「自分の精一杯我慢できる範囲をキープして断薬」するという表現が一番適切かなと思います。

断薬を取り組まれている方の中には、「この方法しかない!!」と意地になっておられる方も見受けられるように思えましたが、おそらく正しい方法は一つではない。
少なくとも、私は「一気断薬」というやり方で断薬した、1ケースです。
失敗したら違う方法を試してみたらいい、「やめる」という意志が強ければ、きっと止められると思います。
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Comment 2

みずな

はじめまして。
断薬してから1年ちょっと、今頃になって断薬された方のブログを探しています。
1年経っても知覚過敏(聴覚過敏)が治らず、もしかしたら断薬の過程を急ぎすぎてしまって後遺症になっているのでは、と怖くなってしまいました。
でも1、2年かかる方もいらっしゃるのですね。
それに一気切りして成功している方も。
もちろん個人差があることは承知ですが、8年のんだデパスを1ヶ月の減薬で断薬してしまったのは、それほど危ないことではないでしょうか。
飲み始めた頃は1日に6mg、断薬前の三年くらいは1日に0.5〜1mgです。
一気切りした場合、離脱症状が後遺症として残り続けるとの記事もあり、不安になってしまいました。
なにかご意見お聞かせいただけたら幸いです。

2015/03/19(Thu) 17:51

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CaliforniaRocket

Re: タイトルなし

> みずな さん

はじめまして。
コメントありがとうございます。

知覚過敏をデパス断薬の離脱症状ではないかと疑い、ご憂慮されているとのこと。
お察しいたします。

一気断薬といいますが、厳密には私は一気ではないのですよ。
レキソタンを20mg/日服用していまして、2週間で5mgずつ減らしました。
しかし最後は5mgから一気ですね、つまり一気と言っても、個人個人服用されている量や体質により、影響は異なってくると思ます。

このブログで知り合った断薬仲間の方も多いですが、一気断薬の方も多いですよ。
症状が残ってしまっているかどうか・・・私を含め2年経っても何らかの症状を訴える方は多いですが、それが離脱症状が続いているのかどうかは疑問です。
だって、クスリの服用を続けていても、病気は治らなかったから飲み続けていたんでしょう?
私は10年飲みましたが、それでも病気は治りませんでした。
断薬して2年経ったからと言って、症状(病気)が治まる道理はありませんね。

最近の私の症状は、クスリを飲む前から持っているパニック発作です。
断薬された多くの方も、不安障害など昔の症状が残ったといわれる方は多いです。
もしかしたら断薬によって、神経が過敏になって、症状がやや強く出ているといった影響はあるかもしれませんね。
それでも断薬初期の酷い痛みやふらつき、倦怠感などはなくなっているので、私自身は離脱症状というものはほぼ治まっていると感じています。

離脱症状が後遺症で残るかどうか・・・
詳しくは知りませんが、証明された研究も、検査方法もないと思いますよ。
そういった例もあるかもしれませんが、根拠に基づいたものは聞いたことがありません。

厳しい言い方かもしれませんが、たとえそうだとしても、当時、選択をしなかった漸減法の未来を想像しても仕方ありません。
一気断薬を選んで、その結果しかわからないわけで、漸減法を選んでいたらもっとひどい後遺症が残っていたかもしれません。それは誰にもわからないものだと思います。
そうであれば、自分の選んだ選択に自信を持って、現在ある症状を受け入れて、きっと良くなると考えた方が、少なくとも精神面では健康的です。

私も現在になっても予期不安などを抱えており、ご不安になられる気持ちはよくわかります。
でも、「大丈夫、これでいい、問題ない」と、いつも自分に言い聞かせています。
ご自分の選択に自信を持って、きっとそれが正解です。

また、いつでもコメントください。

2015/03/19(Thu) 20:58

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