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Negative spiral
日経ビジネス電子版に、慢性疼痛というテーマで専門医師と小説家との対談記が連載されています。

「痛み」というのは主観ですから、他者と共有することも比較することもできません。
また同じ痛みであっても、日中は活動しているから気にならないけれど、就寝したら痛みが気になって寝られないなんてこともあるわけで・・
どう痛みが継続し、回復し、変わっていくかなんてことを研究する学問もあるんですね。

この対談記を読んでいると、興味深いことが多く書いてあります。
たとえば(以下抜粋)

  痛みにばかり意識を向けてしまうと、本当に痛みが大きなものになっていく。
  これも「気のせい」「気持ちの問題」というのを越えて、認知の問題だったり、脳神経レベルの根拠が見つかりつつある。


「気のせい」と言っているわけではなく、「痛い痛い」といつも考えていると、痛みを感じる回路(脳の神経)を自ら強化してしまうという研究結果がでてきているそうです。
傷は完全に治っているんだけれども、痛みは消えないなんてこともありますよね。

ほかにも、「恨みや怒り」という感情が、痛みを増幅する副作用があるという興味深い事実が紹介されています。

どのようなケースかというと、
 ・交通事故や事件の被害で負傷して、恨みや怒りを抱えてしまった場合
 ・手術に失敗され(もしくはそう思い込んで)痛みが残り、医者に対して恨みを抱えた場合


こういったケースでは、自分が原因で負傷をした場合に比べて、痛みが出やすく苦しむことが多いという臨床結果もでているそうです。

痛みに囚われると、不安や恐怖を生み、うつや不眠がでやすくなるという悪循環に陥ります。
恨みや怒りは、同じ場所に立ち止まってウロウロするように、その状態を固定化してしまいます。

このことは、ベンゾジアゼピンの断薬、そして離脱症状と言う苦痛に耐える状態と非常に似通っていると感じました。
辛くて苦しくて、そして自分には全く何の責任もない(と感じている)。
精神科医が悪い、厚生労働省が悪い・・・・
私も断薬初期はずっとそんなことを考え、何とかして仕返しできないものかと思っていました。

以前にも書きましたが、断薬後に社会復帰した人はいつまでも恨み言を言っていませんし、ブログを書いていても何事もなかったように消えていなくなる方が多いです。
恨み言? そんなことはもうどうでもよく、忘れていて、自分の道を精一杯生きているのでしょう。

痛みや症状、そして怒りを気にしすぎないように。
別のことに意識を振り向けないといつまでもそこにとどまることになってしまいます。
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