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New drug
私個人はほとんど効果を感じなかったのですが、「抗うつ薬」というクスリはある理屈に基づいて作用を起こす、つまり「作用機序」を計算して設計されています。

たとえばパキシルなどはSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)と呼ばれ、脳内でセロトニンが回収されるのを防ぐことによって、セロトニンの絶対量を増やすことを狙ったお薬です。
そのほか狙い(作用機序)の違った種類のクスリとして、SNRI(サインバルタなど)やNaSSA(リフレックスなど)などがあります。

ではなぜそんな種類があるかというと、ある狙い(作用機序)で効果のなかった患者さんでも、違う働きをするクスリだったら効果があるんじゃね?と期待するからですね。
まあ個人的には、もともとの理屈自体が間違っていたら効かねーんじゃないかと思いますが、ある仮説(ここ重要!)をもとに設計されているわけです。

そして、昨年末に「新しい作用機序を狙った新規抗うつ薬」として、4年ぶりに「ボルチオキセチン(商品名トリンテリックス)」が発売になりました。

私もそうでしたが、これまでの抗うつ薬で効果を感じられなかった患者さんは、新しい薬に対する期待は大きいと思うんですね。
何が正解かはわかりませんが、「自分はうつ病じゃないから効かない」とは思わずに、医者の言うことを真に受けて「抗うつ薬が効かないタイプの人もいる」と考えます。

私の場合、(日本では)2010年に薬価収載されたSNRI(サインバルタ)がこれにあたります。
当時、一縷の望みをもって服用したことを覚えています。
サインバルタは「疼痛」にも適応があるクスリで、当時あった全身痛に効いたことから、効果があったと考えて長らく服用することになりました。

もともと私は「クスリ大好き人間」であり、べったりと依存しておりました。
最近になって読んでくださる方はご存じではないかと思いますが、私のブログネーム「CaliforniaRocket」というのは「作用機序の異なるSNRI(サインバルタ)とNaSSA(リフレックス)を同時に服用したら、ダブルで相乗効果が得られる」という、その当時の最先端の処方からとったんですね。
それくらい、クスリ、いや精神薬を信頼していたわけです。
それが今では、精神薬を忌み嫌い、普通のクスリだってめったに飲まない・・・ずいぶんと信じる神様が変わったものです。

さて話は「ボルチオキセチン」に戻ります。
このクスリ、実は日本では認可にかなり時間がかかっています。
クスリの認可には、プラセボと呼ばれる偽薬と対象のクスリとを別々の患者に投与して、効果の差を見るという臨床試験を行うわけなんですが、「大うつ病性障害」の患者を対象とした最初の2回の試験では差が認められず通らなかったそうです。
それで対象を「反復性大うつ病性障害」に変更して、やっと効果が認められたというものです。

それなのに適応は「うつ病・うつ状態」となっているようで、懐疑的な声もあるとか。
それに個人的な見解ですが、「臨床試験での優位性」というのは、わずか少しだけ偽薬よりも良かったという場合が多いように感じて、どうも全幅の信頼がおけません。

と否定的なことばかり書きましたが、もちろん効果がある患者さんもいるかもしれませんし、先述したように現在服用する抗うつ薬で効果がない患者にとっては、新薬に対する期待は大きいです。
ただ精神科医は、それを悪用して当てずっぽうにクスリをバンバン処方するのではなく、しっかり個々とと向き合って診察をしていただきたいものです。

北里大東病院の宮崎病院長がこういう発言をされています。
「現状では画期的な新薬などないのだから、すぐ飛び付くのは良くない。まずはうつ病を正しく診断し、生活指導や環境調整などをきちんと行う。その上で、使いこなせる抗うつ薬で治療し、その次に必要であれば、新薬を含めて治療の選択肢を増やしていく、これが本来あるべきうつ病診療の在り方だ」。

説明がないのは論外だし、困難であることを言い含めるのも医者の役目です。
新薬は、製薬メーカーにとっては儲けのネタでしょうが、我々患者にとっては命の希望であることを忘れないで。
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